大学は経営学部で、卒論のテーマが、街全体で情報化や持続性を実現する「スマートシティ」の実現のための方策だったこともあって、就職活動では建設業界を目指しました。
しかしうまくいかず、ある会社に営業として就職しました。ところが、その会社の仕事は入社前に伝えられたこととは実態が違っていたので、危険を感じて1カ月で退職しました。
再び就職活動となったわけですが、偶然面接を受けた大建で、仕事についていいことだけではなく、業界の慣習など、こんな側面もあるということを丁寧に話してくれたことに誠実さを感じて、入社を決意しました。
施工と発注システムの研修を受けて営業の現場に出たのですが、営業や建築の専門用語が全く分らない状態で、なんとか間違いなく案件がこなせるまでになるには3年ほどかかりました。
大商グループの事業は、新築戸建住宅へのサッシなどの納入と、社内でオプションリフォームと呼ばれるアフターマーケットへの取り組みの2つが中心です。
私も新築戸建住宅を月25棟ほど担当しているのですが、その他に「施設改修」という、大商グループとしては少し珍しい案件も月7〜8件ほど担当します。
私のお客様は地場の工務店様数社ですが、そのお客様が受注する案件の中には、オフィスビルや工場、倉庫、病院、行政施設、図書館といった、鉄筋コンクリートや鉄骨を用いた建物の改修があります。その改修のサッシ関連を依頼される案件です。
大商グループで通常扱っている商材は木造住宅用ですので、ビル用サッシやシャッター、時にはガラス屋根などといった、他の部署では取り扱っていない商材を扱うことになります。
シャッターをつける、内窓をつけるなどの部分的な案件から、サッシの工期だけでも数ヶ月かかるような施設全体の改修まで、規模もさまざまです。
建物の状態や商材が異なるだけではなく、仕事の進め方も全く違います。
施設改修は、そもそもどのような工事をどう進めるのかということから案件がスタートします。いわば、全てが一点ものの、オーダーメードの工程管理といえます。
一件一件現場に行って、建物の状況を把握して、施主様の要望が実現できるのか、どう実現したらいいのかを見極める必要があります。
商材だけではなく、建物の躯体や構造に関する知識と勘が必要になります。
サッシ周りの専門家として、工務店様と施主様と話し合って決めていくことになりますが、問題になるのは、工事の際の危険や将来的な不具合のリスクが見えていないような要望や仕様がある場合です。
隠れているリスクやデメリットをきちんと説明して、ご理解いただくことが重要になります。
それでも実施を希望される場合は、文書で責任範囲を明確にした上で工事をすることになります。
関係者の意図を調整したり、社内で人に快く動いてもらうというスキルは、大商グループの社員が持っている大きな力だと感じます。
私は「自分の後の工程をする社員はお客様と同じように大切なもの」だと思って仕事をしています。
営業は、社内の業務チームや施工チームに案件を渡して、色々と動いてもらいます。
その際に、皆の負担が軽くなるように考えて行動をするようにしています。
そうすれば、他の職種の人たちも、営業の立場に立って行動してくれると思います。
相互に尊重し合うという文化です。
人は経験を重ねれば、ついつい「相手を尊重するより、相手から一方的に尊重された方が効率がいい」と考えてしまうものだと思いますが、私は「相手の立場に立って行動することが、最も効率がいい」という職場であることがとても大切だと考えています。
相手の立場に立ちながら、オーダーメードでゼロから改修案件を進めるように、相互に尊重し合える働き方やチームを自分たちでオーダーメードしたいと思っています。